大阪市北区の耳鼻咽喉科・アレルギー科

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③ 好酸球性副鼻腔炎

③ 好酸球性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎は、8週~12週以上継続する慢性炎症疾患とされています。重症例では鼻・副鼻腔粘膜の過度な浮腫による鼻茸の形成がときに認められても抗生物質(マクロライド系)等の投与でコントロール可能なことが多くありました。しかし、近年従来の慢性副鼻腔炎の治療法では制御が困難で手術でも再発しやすい症例がときにあります。これらの慢性副鼻腔炎では、手術中に採取した鼻茸組織中に著しい好酸球浸潤を認めることから好酸球性副鼻腔炎とされており、慢性副鼻腔炎の中でも難治性慢性副鼻腔炎に分類されるようになっています。現在、好酸球性副鼻腔炎は、慢性や急性副鼻腔炎からの移行ではなく、全身的な疾患の一つの症候発現であり、全身疾患(呼吸器疾患)の副鼻腔での病態を示しているとの考え方が有力になっています。好酸球性副鼻腔炎は嗅覚障害(匂いが分かりにくい状態)を訴えることが多く、病変部は顔面の正中にあり、嗅裂部、両側篩骨洞、両側鼻腔が中心です。一方で一般的な慢性副鼻腔炎は、正中ではなく、両側上顎洞が中心で顔面対称性もしくは片側性の病変となることから、匂いは重症でなければ通常は分かります。好酸球性副鼻腔炎で合併している疾患は、気管支喘息、アスピリン不耐症、NSAIDアレルギーが有意に多いとされています。診断は、粘調な鼻水が特徴ですが、特にCT検査で特徴的所見をがあって、両側の篩骨蜂巣や正中に近い部位の病変が強く、両側鼻腔には多発性の鼻茸(ポリープ)を、嗅裂は鼻茸のために閉鎖しています。

治療は、軽症例で症状も強くない場合は保存的な治療となります。特に経口ステロイド薬が有効ですが、副作用もあるので、抗ロイコトリエン薬を主体に慎重に服用していただきます。膿性鼻汁を認めた場合には、まず、抗生物質としてアモキシシリン(AMPC)を内服しますが、鼻汁が減少しないときは細菌培養にて感受性のある抗菌薬に変更します。感染が落ち着いたときに、通常の副鼻腔炎の治療のように少量マクロライドの内服となりますが、鼻茸の縮小などがなく鼻腔を充満する鼻茸が改善せずに頭痛などの副鼻腔炎の増悪による症状が継続時には内視鏡下鼻副鼻腔手術の適応となります。手術は、4つの副鼻腔を単洞化する手術が行われますので、これによって術後の管理が容易となりステロイド噴霧薬などの薬剤の到達性も向上し、術後の経過は飛躍的に改善します。手術後は、経口ステロイドは漸減し、最終的には中止し、鼻噴霧ステロイドへ移行することになります。手術をしても先に述べましたが、再発しやすいタイプの副鼻腔炎です。当院では、鼻副鼻腔の内視鏡手術の専門医をご紹介可能ですが、再発するのは医師の問題ではなく、術後の診察を中断したり、内服薬や外用薬を止めたりしたときに再発が起こりやすいという病気の性質もあるということになりますので、ご理解が必要となります。

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