6)慢性化膿性中耳炎
慢性(化膿性)中耳炎は、急性中耳炎をたびたび繰り返して慢性化したものをといいます。子供の頃に繰り返していた中耳炎を大人になっても引きずっている状態です。慢性中耳炎は「聞こえ」が悪くなり「耳だれ」が時々出ます。この耳だれがある状態は炎症が再燃し悪化した状態ですので放置してはいけませんが、たとえ耳だれが収まっても鼓膜の奥の炎症は消えてはいません。患者様は「耳だれ」が出なくなれば治ったものと思いがちですが、実は治ってはいないのです。何回も「耳だれ」をくり返すことによって、鼓膜に開いた穴は大きくなり、鼓膜の奥にある音を伝える骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)の動きも悪くなるので、難聴が進行してしまいます。
中耳炎の難聴などの手術治療は、鼓膜の穴を塞ぐだけであれば、鼓膜形成術ですが、その奥の耳小骨の動きなどを修復するときは鼓室形成術といって、鼓膜皮弁を半分以上剥離して耳小骨の繋がりを修復し治すことができます。ただし、後者の鼓室形成術は全身麻酔で行う方が安全性も含めて優れていますので、当院では、主に前者の鼓膜形成術を行っています。