5)鼓膜穿孔(単純穿孔:中耳炎が原因のものは含みません)
1. 中耳炎以外の鼓膜穿孔(単純穿孔)の種類
鼓膜穿孔がある場合は、いくつかの原因があります。
- 鼓膜チューブや耳管ピン挿入術の手術後等に遺残性に生じる場合
- 鼓膜に外傷を生じて穿孔を生じる場合
①の術後に生じる鼓膜穿孔はリティンパを用いた鼓膜穿孔閉鎖術か鼓膜形成術、あるいはその両方を行うことでほとんどの場合は、鼓膜を閉じることができます(耳の病気の手術のリンクを参照)。ここでは、中耳炎がない単純穿孔として、鼓膜の外傷で穿孔を生じる場合を記載します。
2. 外傷性鼓膜穿孔の原因とタイプ
鼓膜が破れる原因には、直接何かが当たって破れる場合、外耳道気圧の急激な上昇・下降によって破れる場合、頭部外傷で側頭骨骨折に伴って破れる場合の3通りがあります。
また、直接何かが当たって破れる場合や頭部外傷で側頭骨骨折に伴って破れる場合は直達性穿孔(ちょくたつせいせんこう)と呼ばれ、外耳道気圧の急激な上昇・下降によって破れる場合は介達性穿孔(かいたつせいせんこう)と呼ばれます。
耳かきは週一程度にこのうち、鼓膜が直接破れる場合は、耳かきをしているときに誤って耳かきの棒や綿棒が奥に入ってしまうということが最も多いケースです。外耳道気圧の急激な変化で起こる例としては、平手で耳をたたかれたケースが最も多く、次に、ボールが耳に当たったケースなどです。
3. 外傷性鼓膜穿孔の症状
鼓膜が破れた瞬間は耳に激しい痛みを感じます。そしてその後で出血、耳の聞こえの悪さ、耳がボーッとする、などの症状に気がつきます。傷が鼓膜を破り耳小骨(じしょうこつ)に当たって、内耳にも影響することがあり、その場合にはめまいも起こります。
4. 外傷性鼓膜穿孔の治療
感染を起こさなければある程度の大きさの鼓膜の孔(あな)は自然にふさがります。しかし、鼓膜の孔(あな)が大きいときは鼓膜をふさぐ処置や手術(鼓膜穿孔閉鎖術や鼓膜形成術:耳の病気の手術治療参照)をします。耳小骨に影響が出た場合には鼓室形成術(こしつけいせいじゅつ)という耳小骨の位置を戻して鼓膜をはる手術を行います。