5)顔面神経麻痺
顔面神経麻痺は、片側の顔の筋肉の動きが悪くなる病気です。急に発症し、目が閉じられないとか食べるものが口からこぼれるなどの症状で始まって、多くは末梢性といって鼓膜の奥の中耳に接する部位にある顔面神経の麻痺で、交通事故などの外傷や中耳炎などの直接の引き金が明らかでないいわゆるベル麻痺といわれるものが多くを占めます。原因は不明ですが、ウイルス説が有力です。次に多いのはラムゼイ・ハント症候群です。これは水痘-帯状疱疹ウイルスが再活性化して発症します。耳介・外耳道の帯状疱疹(皮膚表面できる発赤や痛みを伴う疱疹)やめまい、難聴、耳鳴の症状を伴います。ベル麻痺とハント症候群は早期治療が重要です。ステロイド治療が最も有効とされており、発症早期には抗ウイルス剤も併用しますが、より重症の場合は大量のステロイド点滴治療を目的として専門病院への紹介を行っています。